就労継続支援B型事業所の工賃(給料)は低いのか?当事者が意見してみる。
僕は普段、就労継続支援B型事業所(以下『B型事業所』と表記)という施設に通っています。
B型事業所とは何かざっくりと説明すると、障害者福祉サービスの1つで「一般就労を目指す障害者が、主に軽作業をしながら各自の課題を克服するための場」です。
例えば…コミュニケーションが苦手な人は頑張って他の人と雑談をする。
体調が安定しない人は、頑張ってなるべく通える・作業できるようになる。
といった感じ。
先ほど「主に軽作業をしながら」と書きましたが、B型事業所は雇用関係を結ばないので、給料ではなく「工賃」として
作業した分に応じてお金が貰えます。
当然、所得には含まれません。
で、ここからが本題。
B型事業所は雇用関係を結ばないので、最低賃金が保証されません。
その結果、工賃の全国平均が月15000円。
(時給換算100円〜200円)
これが「低すぎるのではないか」「障害者差別ではないか」とたまに話題になります。
今回は、この事についてB型事業所の実際の利用者が意見してみたいと思います。
①実際の工賃支給額(一例)
まずはこちらをご覧ください
先ほど「全国平均月15000円」と書きましたが、実際は…満たない場合が多いです。何故でしょうか。
それは「平均」という言葉の裏に隠された工賃格差があるからです。
例えば…B型事業所が全国に3つあるとして、仮に「事業所a」「事業所b」「事業所c」と名付けます。
「事業所a・b」の月平均が10000円でも「事業所c」の月平均が25000円だったら「全国平均15000円」となります。
そしてこれは、実際にあることなのです。
多くのB型事業所は軽作業をやっています。
例えば某100円ショップの商品の梱包だったり、ホテルのアメニティの封入。
こういった軽作業系B型事業所は工賃が比較的低い傾向にあります。
その一方で、ごく一部のB型事業所は野外活動をしています。
主に畑仕事が多いようですが…中には胡蝶蘭を育てているB型事業所もあります。
こういった野外活動系のB型事業所は工賃が比較的高い傾向にあります。
胡蝶蘭を育てているB型事業所なんて月十万以上の工賃が支給されてるようですよ。
こういう、軽作業系のB型事業所と野外活動系のB型事業所を全部ひっくるめて「全国平均月15000円」と言っているだけなので、実際に月15000円が貰えるB型事業所は少ない…というのがカラクリとなっています。
②工賃について当事者の一意見
それでは、この「月平均15000円」について低いのかどうなのか、当事者が意見をしてみたいと思います。
僕は「少し低いかも知れないが騒ぐほどでもない」と考えます。以下、理由。
理由①まず、お金を稼ぐ場ではない。
B型事業所はお金を稼ぐのが目的の場ではありません。あくまで「一般就労するための訓練の場」です。
本来であればお金を払って色々教えて貰うような、学校のような場所であるため
「最低賃金があーだこーだ」言うのは違うのかな、と僕は考えています。
理由②言うほどそんなに働いてない。
「1ヶ月働いて15000円」だけ見たら「少ない」と感じても仕方ないですが
実際は
・1日4時間。
・1時間に1回休憩時間あり。
・ノルマ無し。残業なし。
・作業中のお喋りOK。
・遅刻早退、休憩OK。
・土日祝休み。連休あり。
だったりします。
まあこれは僕の通っているB型事業所の話なんで各事業所によって違いはあるでしょうが、それでも一般の会社と比べたらユルいことは確実なんじゃないでしょうか。
言うほど働いてないのに口だけ「最低賃金くれ!」というのは都合が良さ過ぎますよね。
理由③最低賃金を保証したら障害者のためにならない。
仮に、最低賃金を保証したとしましょう。すると、どうなるでしょうか。
「充分なお金が貰えるからずっとここにいよう。別に就職しなくてもいいや。楽だし。」と言う人が出てくると思いませんか?
僕だったらそうします。
これではいけませんよね。
障害者の向上心がなくなります。
工賃が低いことで「こんなところさっさと卒業してすぐに大金を稼いでやる!」
という障害者もいるかも知れません。
何度も書きますが、B型事業所はあくまで一般就労のための訓練の場所。
ここで満足させちゃあ色々とまずいわけです。本人のためにもならないし、事業所の役割を果たさなくなる。
以上。この3つの理由をもって僕は「B型事業所の工賃について騒ぐのはおかしい」と意見します。
…とは言っても
流石に時給100円〜200円と言うのは低いですよね。
自販機でジュース1本買うだけで1時間分の働きがパーになりますもん。
健常者のみなさん、ジュース1本1000円だったらどう思いますか?
それと同じ感覚です。
せめて時給が最低賃金の1/3〜1/2ぐらいあれば「まぁ…そこそこ稼げるしちょっとしんどいけど行こか」なんて考えも出てきて、それが結果的に就職への近道になる可能性もありますが、200円以下だと「どうせ行っても対して工賃変わらんし、休んだ方がマシ」って考えになって
就職へのステップアップが遅れるってことも十分、ありえますしね。
なかなか難しいですが、もう少しだけ工賃上げてもいいんじゃないっすかね?
国のお偉いさん、予算あまってませんの?
毎月の工賃UPが厳しいなら、例えば
「半年間で規定日数通所した人にボーナスを上げる」とか、そんなんでも障害者のやる気をUPさせること出来ると思いまっせ。